AGA(男性型脱毛症)に悩んでいる人が、自分でできる手軽なAGA対策として真っ先に思いつくのが、育毛剤ではないでしょうか。テレビCMやインターネット上の口コミなどを見ても、育毛剤は抜け毛や薄毛に効果があるように感じられ、AGAに悩む人の多くが使用しているイメージがあります。
しかし、いざ育毛剤を購入しようと思っても種類がたくさんあるために、どのようなポイントを重視して選べばよいのか悩んでしまう人も多いでしょう。単に価格やインターネット上の人気ランキングを参考にしているだけでは、期待する効果が得られない可能性もあります。
では、育毛剤は何をポイントに選べばよいのでしょうか。それを考えるためには、そもそも育毛剤とはどういったものなのかを知る必要があります。育毛剤とは簡単に言えば、「いま生えている毛が抜けにくくなるようにし、毛髪の成長を促すためのもの」です。ただし、ひとくちに育毛剤と言っても、配合されている成分や効果が異なるものが数種類存在します。ここでは、主な効能別に育毛剤の種類を3つご紹介します。
男性ホルモンの一種である「DHT(ジヒドロテストステロン)」を生み出す「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」という酵素の働きを妨げる成分を謳っている育毛剤がこれに該当します。AGAの主な原因と言われているのが、DHTの影響です。男性ホルモンであるDHTには、抜け毛を促進させてしまう作用があるため、5αリダクターゼの働きを阻害してDHTの生成を防いでAGAの進行を抑制します。
毛母細胞や毛根の栄養不足によっても抜け毛が起こるといわれています。血管拡張作用のある成分や血流をスムーズにする成分を配合することで、毛根に必要な栄養素を血液にのせて届け、健康な毛髪を作り出すのがこのタイプの育毛剤です。
健康な頭皮にはある程度の皮脂は必要なものですが、シャンプーのし過ぎや生活習慣の乱れなどから皮脂の過剰分泌が起こると、髪の健康に影響を与えてしまいます。皮脂が過剰になった頭皮は抜け毛が起こりやすくなるため、皮脂の分泌を抑える働きのある成分を配合した育毛剤もあります。
次に、育毛剤には具体的にどのような成分が含まれているのかも見ていきましょう。使用されている成分は育毛剤によって異なりますが、大きく分けて3つの目的別に成分が配合されていることが多いようです。ここでは、目的別に育毛剤に含まれる成分をご紹介します。
毛母細胞は毛髪を作る細胞です。この毛母細胞を活性化させると、抜け毛を予防したり、発毛を促したりといった効果が期待できます。そのため、育毛剤には毛母細胞の細胞分裂を活発にして増殖を手助けしたり、毛髪の生成を促進したりする成分が含まれています。市販の育毛剤に含まれる毛母細胞を活性化させるといわれる成分には、次のようなものがあります。
フケや炎症といった頭皮トラブルも薄毛を招くことがあります。フケは古い頭皮がはがれ落ちたもので、誰にでも発生するものですが、かゆみが強かったり頭を洗った直後もフケが目立ったりする場合は、菌が原因のことがあります。殺菌成分には、菌を殺して抜け毛や薄毛の原因となるフケや炎症を改善・予防する働きがあります。
髪に必要な栄養は、血液によって髪の毛まで運ばれます。栄養がなければ当然、髪の毛は正常に成長することができません。育毛剤に含まれる血行を良くする成分は、血行の促進によって丈夫で健康的な髪を作る手助けをしてくれます。
市販の育毛剤に含まれる血行を良くする成分には、次のようなものがあります。
ドラッグストアなどには「育毛剤」や「発毛剤」が売られていますが、違いがよくわからないという人もいるでしょう。この2つは名前が似ていますが、使用の目的や効果が大きく異なります。ここでは、育毛剤と発毛剤の違いについてご説明します。
前述のとおり、育毛剤はすでに生えている毛に働きかけて、成長を促進させたり、抜けにくくしたりするものです。これに対して発毛剤は、毛が抜けてしまったところに再度新しい毛を生やす効果があります。毛母細胞に働きかけて、直接発毛を促進するのです。
また、法律上の区分にも大きな違いがあります。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の定めでは市販の育毛剤の多くは「医薬部外品」ですが、治療効果が認められた発毛剤として市販されている商品は、「第1類医薬品」として厚生労働省から認定されています。
第1類医薬品は効果が高いというメリットがある分、副作用の可能性や使用方法に注意が必要なため、薬剤師の指導のもと、薬局やドラッグストアで販売が行われます。
一方の医薬部外品は、病気の予防のみを目的としています。厚生労働省が許可した有効成分を含んでいるものの、劇的な病気の治療効果は認められません。そのかわりに、副作用が起こるリスクが低く、ドラッグストアやコンビニエンスストアなどで手軽に購入することができるのです。
育毛剤と発毛剤の違いがわかったところで、次は市販の育毛剤とAGA治療薬の違いも見ていきましょう。
市販の育毛剤はドラッグストアや通信販売などで購入することができますが、AGA治療薬は医師の診察を受けて処方してもらわなければなりません。AGA治療薬の入手に医師の処方が必要なのは、それだけ効果が強く、副作用などのリスクを伴うからです。
医師が処方するAGA治療薬として一般的なものには、「フィナステリド」や「デュタステリド」が配合された内服薬と「ミノキシジル」が配合された外用薬の2種類があります。
フィナステリドやデュタステリドには、抜け毛を引き起こすDHTの働きを抑制する効果があります。もう1つのミノキシジルは、髪を作る毛母細胞の働きを活発にすることで、発毛を促します。
フィナステリドの効果は、フィナステリドを主成分とする「プロペシア」の臨床試験によって実証されています。臨床試験において、プロペシアを3年間服用した人の70%以上にAGAの改善傾向が見られたという高い効果が報告されています。
同じくミノキシジル外用薬も臨床試験において、1年間の使用で90%以上の人が発毛効果を実感しているという高い効果が実証されました。
このように十分な臨床実験によって効果が確認されている成分は、現時点ではこの3種類のみです。これら3つの成分が含まれるAGA治療薬は世界的にも高い販売実績があり、信頼のおける治療薬と言ってよいでしょう。
国内で育毛剤として上記の成分を含むものは現在、販売されていません。つまり、この3つの成分が入っているかいないかが、市販の育毛剤とAGA治療薬のはっきりとした違いなのです。ただし第1類医薬品の発毛剤として販売されている「リアップ」などに関しては、ミノキシジルの配合が国内で唯一認められています。(2017年現在)
人によっては、AGA治療薬に含まれる成分によって副作用が出る場合があります。フィナステリドの副作用の主な症状としては性欲低下・ED(勃起不全)・じんましん・倦怠感などが報告されていますが、いずれも発症率は低いと言われています。
また、ミノキシジルにも頭皮のかゆみやかぶれなどの副作用が報告されています。それに加えて、もともとミノキシジルは高血圧の人に対して血圧を下げることを目的に処方していた薬に含まれる成分のため、極めて稀ですが副作用によって血圧が低下する場合があります。
一方で市販の育毛剤に関しては、副作用のリスクは低いと言われています。というのも、医師の処方箋が不要な医薬部外品の定義そのものが、副作用のリスクが低いものとされているからです。
AGAに悩む人の中には、専門の病院に通院する時間や費用がない人もいるでしょう。そのような場合に、育毛剤が代替策となることも考えられます。インターネット上にはさまざまな意見が見られますが、ここでは信頼できる情報として、国内の専門機関である日本皮膚科学会の検証結果を見ていきましょう。
日本皮膚科学会は「男性型脱毛症診療ガイドライン(2010年版)」において、AGAに対する効果が謳われている治療法について検証を行った結果、次のように明確な使用推奨度のランク付けをしています。
国内で販売されている育毛剤に含まれる成分に該当するのは、ランクC1以下と判定されている塩化カルプロニウム、t-フラバノン、アデノシン、サイトプリン、ペンタデカン、セファランチンの6つです。
日本皮膚科学会は、医師がAGA治療を行う際、ランクAから順に行うべきであることも示しています。
ランクC1=「十分な根拠がない」とされている成分ですが、ランクC2やランクDのように「勧められない」ものというわけではありません。日本皮膚科学会のガイドラインによると、t-フラバノン、アデノシン、サイトプリン、ペンタデカンの4つに関しては、有効性を示す根拠が少ないながらもプラセボ(効果比較のために用いられる治療効果のない薬、偽薬のこと)よりは効果があったこと、副作用が軽微な点も考慮し、外用療法の1つとして推奨するといった判断がされています。
また、同じランクC1の中でもケトコナゾールは日本国内で市販されている育毛剤には含まれていませんが、外国での検証結果をもとに日本皮膚科学会としては外用療法の1つとして推奨するとしています。
しかし、病院で処方される薬用育毛シャンプーには含まれており、AGAに対する比較試験では、通常のシャンプーに比べて育毛に有効であるとされています。
これら日本皮膚科学会の検証は男性に対して行われたものであり、女性への有益性は不明であるとされています。よって、これらの成分が入っている育毛剤を抜け毛や薄毛に悩む女性が使用したとしても、効果は保証されません。
以上のように、日本皮膚科学会のガイドラインによれば市販の育毛剤にフィナステリドやミノキシジルが含まれていなくても、ランクC1程度の成分が入っているのであれば試してみる価値はあることがわかります。
しかし、あくまでもランクC1は「十分な根拠がない成分」であることを忘れないようにしましょう。また、含まれている成分の量によっても効果は変わります。市販の育毛剤にそれらの成分がどの程度含まれているかは、きちんと成分表示で確認しましょう。
さまざまな育毛剤が市場には出回っていますが、このように日本皮膚科学会のガイドラインに表記されている成分とその推奨度を確認しておくと、育毛剤の選び方が変わるのではないでしょうか。
AGAに悩む人にとって育毛剤は、ドラッグストアなどで購入できるという手軽さゆえに、気軽に試してみたくなる商品かもしれません。しかし育毛剤にはさまざまな種類があり、含まれている成分も異なるため、種類や成分を理解して選ぶ必要があります。面倒かもしれませんが、成分や医学的根拠を調べた上で育毛剤を選ぶことができればその分、費用ばかりかかって効果が出ないという事態を回避できる可能性が高まるでしょう。
東京秋葉原にあるAGAヘアクリニック(以下、当院)は、AGA治療の専門クリニックです。日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも推奨されている、フィナステリドやミノキシジルを使用した治療を行なっています。治療経験が豊富な医師が患者様の体質やご希望などを考慮し、一人ひとりに合わせたAGAの治療プランをご提案します。AGAの根本的な治療をするのであれば、AGA治療の専門クリニックをおすすめします。
〒101-0021
東京都千代田区外神田3-12-8
住友不動産秋葉原ビル9階
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平日 | 11:00〜20:00 |
土日祝 | 10:00〜19:00 |
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」と呼ばれる脱毛症の一種です。成人男性に多くみられる薄毛の症状で、薄毛で悩む男性のほとんどがAGAともいわれています。
ミノキシジルは内服薬タイプと、直接頭皮に塗布して使用する外用液タイプがあります。
フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の進行を抑えて髪の毛のサイクルを正常な状態へと戻すためのAGA治療薬です。アメリカの医薬品管理局であるFDAで認可されたAGA治療用の薬剤で、世界中で広く利用されています。
AGA(男性型脱毛症)治療薬として「フィナステリド」が一般的ですが、当院では患者様にまず「デュタステリド」という治療薬をご提案しています。
パントガール®(Pantogar)はドイツの製薬会社により開発され、世界で初めて女性の薄毛に効果が認められた薄毛治療薬です。
頭皮トラブルでお悩みの患者様に、当院では「ケトコナゾール含有治療用シャンプー」をご提案しています。薄毛のお悩みに加えて、細かいフケやしつこいかゆみなどの頭皮トラブルにお悩みの方も少なくありません。
FAGA(女性男性型脱毛症)とは、女性の薄毛の総称を指す言葉です。1964年ごろから研究が始まったとされており、当初は男性のAGA(男性型脱毛症)と同じものだと考えられていました。
薄毛で悩まれている患者様は、「将来が心配」という方や「薄毛が最近進んでいる」という方など、薄毛治療にかかる理由は様々です。
近年は中高年の方だけではなく20〜30代の若年層の方まで、幅広い年齢層の方々が髪の毛の悩みを抱えてるといわれています。しかし薄毛=男性というイメージはいまも強く、専門クリニックなども男性が対象なのでは?と不安に思う方も多くいらっしゃいます。