毛髪のサイクル

髪の毛には、毛が成長して抜けるまで一定の周期があります。毛が活発に成長する「成長期」、ある時点で毛の産生が止まり、細胞の自然死(アポトーシス)により退縮する「退行期」、毛包が活動を停止する「休止期」という周期です。成長期ではさらに早期、中期、後期と分かれています。

髪の毛を含む体毛は、一見、ある程度は同じような時期に同じようなスピードで生えているかのように感じられますが、毛の一本一本にはそれぞれの周期があり、一本の髪の毛が新しい髪の毛に生え変わるまでには、通常2年から6年位はかかるといわれています。この毛の成長サイクルこそが、「毛周期」と呼ばれる毛髪のメカニズムです。しかもこの毛髪の成長サイクルは生涯で決められた回数しか行われません。このサイクルが乱れないように維持していくことが薄毛の予防や改善に繋がっていきます。

毛髪のサイクル

毛の構造

1本の毛は大きく3つに分かれます。皮膚から出てきている目に見える部分を「毛幹」、皮膚より下の開口部付近を「毛孔部」、さらに深部を「毛根」と言います。さらに、皮膚の中にある毛根の根元の部分は丸みを帯びて球状になっており、そこの膨らみを「毛球」といいます。

毛球の付け根には頭皮内の毛細血管と繋がる「毛乳頭」があり、毛乳頭の周りには、髪の毛へと分化する細胞「毛母細胞」が存在します。毛乳頭細胞から毛髪の発育に必要なシグナル(髪を伸ばせという命令)を毛母細胞に送り出します。毛髪が成長を続けているとあるタイミングでシグナルの供給が停止されます。その結果、毛髪は退縮を始めるのです。

毛の構造

毛周期の構造

毛周期は大きく分けると、髪の毛がどんどん太く長くなる「成長期」、毛の成長が停止する「退行期」、新しい毛を生成するための準備期間である「休止期」があり、それらを繰り返すことで、常に髪の量や健康状態を保っています。

髪の毛は成長期の早い段階(早期成長期)に毛球の毛母細胞が分裂し活発になることで毛が伸び始め、皮膚の表面から顔を出していきます。そして時間をかけて段々と太く長くなっていきます(後期成長期)。

この後期成長期が、一番太くて丈夫な毛髪が生えている状態です。しばらく経つと退行期に入り、毛球が小さくなり始めて毛母細胞の細胞分裂も減少していきます。

細胞分裂が休止すると、毛乳頭から毛球が離れていきます。皮膚の中で毛乳頭から離れた毛球が徐々に押し上げられていき、抜け毛となって抜け落ちます。
休止期になると、新たな毛母細胞が供給され、新たな毛を作り出す準備を始め、毛球の毛母細胞が活発になっていき、再び成長期に入っていきます。

毛周期の構造

AGA(男性型脱毛症)のしくみ

秋などの季節の変わり目では抜け毛が多くなる時期もありますが、一般的に成人では髪の毛が1日に100本前後は抜け変わるといわれています。薄毛の原因の一つでもある男性ホルモンは、髭や胸毛など、体毛を濃くする働きをもちますが、前頭部および頭頂部に対しては、毛周期を短くし、抜け毛の原因となったり、薄毛を引き起こします。

通常、頭部の毛は成長期が2〜6年程度、退行期が数週間程度、休止期が数ヵ月程度で1000日から2000日の毛周期と呼ばれるサイクルを繰り返します。しかし、男性型脱毛症の方は、男性ホルモンが正常な毛周期を阻害し、成長期を短縮してしまいます。そのため、通常1000日以上の毛周期を約100日程度と極端に短くしてしまうのです。そのため、健康的な太く長い髪の毛が育たず、短く細い毛髪ばかりとなってしまう軟毛化現象を引き起こします。そして最終的には毛包が消失してフケとして脱落してしまい、皮膚の表面から毛髪が出現しなくなってしまうのです。

男性ホルモンの代表であるテストステロンは男性の場合は主に精巣や副腎で生成されます。女性の場合は卵巣と副腎でそれぞれ25%が、残りが皮膚や脂肪組織といった末梢組織で生成されています。テストステロンは、髭、胸毛、前頭部、頭頂部の毛乳頭細胞に存在する5α-還元酵素(5αリダクターゼ)という酵素が結合すると、さらに活性の高いDHT(ジヒドロテストステロン)とよばれるホルモンに変換されます。これが男性ホルモン受容体に結合すると、核内へ移行し、標的遺伝子の転写を調節する様々なシグナル(化学物質)が作り出されます。

髭の発育には髭毛乳頭細胞から分泌されるIGF-1と呼ばれる毛の成長を促進させるシグナルが、AGAの発症には前頭部と頭頂部の毛乳頭細胞より分泌されるTGF-βと呼ばれる毛の成長を阻害するシグナルが、それぞれ影響していることがわかっています。このように作用する部位の違いによって、同じホルモンでも髭は濃くして、毛髪を薄くしてしまうのです。

ここではAGA(男性型脱毛症)のことを記載していますが、AGAに限らず、脱毛症には様々な症状や原因や疾患があります。頭頂部などは肉眼では見えない部分にあるためご自身の頭部を正しく観察することは困難です。お一人では症状を判断できない場合が多いと思います。抜け毛が気になったら、専門の病院でご相談されることをお勧めします。早期の治療が改善に繋がります。

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