【医師が教える】発毛剤・育毛剤・養毛剤の薬機法上の違いとは?
監修医師のご紹介

AGAヘアクリニック 院長 水島 豪太
2009年 日本大学医学部卒業。大学病院および市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)への留学を経て、2016年7月よりAGAヘアクリニックを開院。
薬局やドラッグストアでも手に入る発毛剤や育毛剤。薄毛や抜け毛を改善したいと思っている方なら、一度は使用を検討したことがあるかもしれません。一見似ていると思われがちなこれらの製品ですが、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の違いがあるため、含まれている成分や効能には大きな差があります。またその販売方法も実に様々です。今回のAGAタイムスでは、薬機法で見るそれぞれの効果の違いや、手に入れられる場所の違いについてご紹介していきます。
発毛剤、育毛剤、養毛剤の薬機法上の分類
発毛剤や育毛剤、養毛剤はそれぞれ薬機法で定められている分類が異なるため、効能や含有成分にも大きな違いがあります。また、それぞれの販売方法も定められています。
- ■発毛剤:細胞に働きかけるなどして発毛を促す作用が期待できるもの。医薬品に分類される。
- ■育毛剤:髪の毛が健康に育つための環境を整えるもの。医薬部外品に分類されるものが多い。
- ■養毛剤:頭皮環境の改善などを主な目的とするもの。化粧品に分類されるものが多い。
上記のようにそれぞれ種別や効能は大きく異なります。正しい薄毛治療を行うためにも、効能や用法を詳しく把握しておくことは大切だといえます。
医薬品・医薬部外品・化粧品の違い
医薬品・医薬部外品・化粧品の違いには、下記のような基準があります。
- ■医薬品
- 医療用に用いられる薬品で、薬機法によって様々な規定が定められています。医薬品の中でも大きく2種類、医療用医薬品と一般用医薬品に分類されます。医療用医薬品は医師しか処方できない規定がある一方、一般用医薬品は薬剤師がいる場合に限り薬局などでも販売することができます。一般用医薬品はさらに3種類に分かれています。
- また、医薬品の有効性や安全性を守るため、製造・販売・販売後の安全対策などが厚生労働省により規制されています。この規制により、私たちの安全が守られています。
- ◯医療用医薬品
- 医師による使用、処方箋や指示によって供給される医薬品のこと。また、取り扱う薬剤は日本薬局方に収められているものと定義されています。
- ◯一般用医薬品
- 【第一類医薬品】
- 副作用などにより日常生活に異常をきたすリスクがあるため、薬剤師からの情報提供を受けた上で薬剤師から購入する必要があるものを指します。
- 《例》胃腸剤(H2ブロッカー)、ニコチン貼り付け剤など
- 【第二類医薬品】
- 第一類医薬品よりリスクは低いものの、購入の際には薬剤師や登録販売者からの説明を受ける義務があるものです。特に依存性の高い製品は「指定第二類医薬品」に分類されています。
- 《例》風邪薬や解熱鎮静剤など
- 【第三類医薬品】
- 医薬品の中で最も副作用や相互作用などのリスクが少なく、薬剤師や登録販売者からの説明を必要とせずに購入できるものです。
- 《例》整腸剤、ビタミン剤など
- ■医薬部外品
- 主に下記の4項目を目的とし、使用の際には人体に及ぼす影響が緩やかなものを指します。
- 1. 吐き気その他の不快感、口臭及び体臭の防止
- 2. あせも、ただれ等の防止
- 3. 脱毛の防止、育毛又は除毛
- 4. 人又は動物の保健のために行うハエ、蚊、ノミ、ねずみ等の駆除又は防止
- 《例》制汗剤や歯磨き粉など
- ■化粧品
- 主に美容目的で開発されたもので、人体に対する作用が緩和なものを指します。
- 《例》シャンプー、コスメ、入浴剤など
このように薬機法では様々な規定が設けられ、国民の安全性が守られています。これらの分類を理解した上で、発毛剤や育毛剤、養毛剤がそれぞれどのような効果を発揮してくれるのかを知っておくと良いでしょう。
発毛剤とは
医薬品に分類される発毛剤は、発毛を促し薄毛を改善する効果のある製品で、主にAGAの治療目的で用いられています。市販の発毛剤として日本で認可を受け販売されている商品には、「リアップ」などがあります。
一般用医薬品である市販のものと医療用医薬品である処方薬では成分の濃度が違うこともあります。より効能が期待できる成分濃度が高い発毛剤は医師による処方薬であることがほとんどなため、AGA治療専門のクリニックや病院でしか入手できません。一方で比較的濃度が薄いタイプの発毛剤は一般用医薬品として薬局やドラッグストアでも販売されています。
発毛剤の目的は、AGAなどの症状である軟毛化や抜け毛による薄毛を改善させることです。発毛剤の成分は厚生労働省からの承認を得ているため、比較的信憑性も高いといえます。
育毛剤とは
主に医薬部外品や化粧品に分類される育毛剤は「育毛」を目的として作られたものです。すでに生えている髪の毛の成長を促し、脱毛を防ぐ効果があるとされています。そのため、主に頭皮環境を整えるための成分が含まれていることが多く、“発毛作用”はほとんどないとされています。
育毛剤は頭皮環境の改善をはじめとする“髪を健康に育てるための環境づくり”を主な目的としているため、含まれる成分も多種多様。保湿成分がメインのものや、血流をよくする成分がメインのものなど製品によっても異なるため、購入前に一度確認してみると良いでしょう。
育毛剤の中でも厚生労働省が認めた有効成分を一定の割合で配合しているものは、医薬部外品に分類されています。そのため薬局やドラッグストアで販売しており、比較的手に入りやすいものであるともいえます。しかし育毛剤は、あくまでも髪の毛の成長をサポートするためのもの。新たに髪の毛を生やしたいと考えている方に適した製品であるとは言えません。
養毛剤とは
養毛剤という言葉にはあまり聞き馴染みがないかもしれません。基本的には頭皮を清潔に保ち、地肌の健康を促進することと、今生えている髪を保護することを目的とした製品です。化粧品であるため発毛剤や育毛剤に比べて副作用などの心配が少なく安全である反面、効き目も非常に緩やか。そのため、早急な薄毛の改善を求める方には適さないといえるでしょう。
それぞれの入手方法
- ■医療用医薬品の発毛剤
- 医療用医薬品に指定されている発毛剤は医師の処方でしか購入ができません。用法や副作用などについての説明を受け、納得した上で処方してもらいましょう。医療用医薬品は個人輸入で販売されていることもありますが、中には重篤な副作用などを及ぼす可能性があるものもあります。素人の目では判別しにくく、人体へのリスクも高い恐れがあり非常に危険なため、十分に注意しましょう。
- ■第一類・第二類・第三類医薬品の発毛剤
- 第一類医薬品に指定されている発毛剤は、薬局やドラッグストアなどで薬剤師の説明を受けなければ購入できません。第二類のものは登録販売者からの説明を受けるのみでも購入が可能です。第三類のものは特に説明を受けなくても購入ができます。
- ■医薬部外品の育毛剤
- 医薬部外品に指定されている育毛剤は効能や効果が認められた有効成分が含まれますが、医薬品とは違い人体に対する効能が穏やかです。比較的安全性も高いものとされているため、特に薬剤師からの説明や情報提供を受けなくても薬局やドラッグストアで購入することができます。
- ■化粧品の養毛剤
- 化粧品に指定されている養毛剤は、基本的に毛髪ケアや美容目的の製品です。特に効能の高い成分も入っていないため、医療部外品同様、説明を受けずに薬局や薬局やドラッグストアで購入することができます。
早期改善を望む場合は一度AGA治療専門の病院へ
一見、大差はないように感じられる発毛剤、育毛剤、養毛剤ですが、使用に伴うリスクや得られる効果、手に入れられる場所などは大きく異なります。また体質や薄毛・抜け毛の原因にも個人差があり、効果を得られる製品も様々なため自己判断が難しい場合もあります。早期改善を望む場合には、AGA治療専門の病院やクリニックへ行って医師に相談してみるという手段が一番安心であり、おすすめです。
東京・秋葉原にあるAGAヘアクリニックはAGAなどの薄毛治療を専門とした病院です。診察や相談は無料で行っておりますので初めての方や診察したいけど治療は日を改めて考えたいという方でも安心してお越しいただけます。薄毛治療の経験が豊富な医師が診察させていただきますので是非一度ご来院ください。
監修医師のご紹介

AGAヘアクリニック 院長 水島 豪太
2009年 日本大学医学部卒業。大学病院および市中病院で研鑽を積み、2016年7月よりAGAヘアクリニックを開院。