【医師が教える】女性の白髪の原因は栄養不足? そのメカニズムと有効的な白髪対策とは
監修医師のご紹介

AGAヘアクリニック 院長 水島 豪太
2009年 日本大学医学部卒業。大学病院および市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)への留学を経て、2016年7月より医療法人社団則由会 AGAヘアクリニックを開院。
女性の悩みの一つである、年齢を重ねるにつれて気になってくる白髪。白髪染めをして一時的には白髪を隠せても、白髪を根本から改善することはできません。白髪は加齢のせいだと諦めている方も少なくありませんが、白髪には加齢の他にも栄養不足や血行不良などの要因があると考えられています。そこで今回のAGAタイムスでは、女性の白髪の主な原因と有効的な白髪対策法をご紹介します。
白髪のメカニズム
髪の毛の生成には髪の毛自体を生み出す「毛母細胞」と、黒い色素を作る細胞の「メラノサイト(色素細胞)」が関与しています。毛母細胞によって生成される髪の毛は本来無色ですが、メラノサイトによって色素が着色されて初めて黒髪が生えてくるようになります。メラノサイトは髪の根元部分である「毛包」に存在し、毛母細胞から生み出される髪の毛に色をつけています。メラノサイトが色素を作れなかったり、作った色素を取り込むことができなかったりすると髪の毛は白髪のまま生えてくることになります。
【髪の毛を生成する幹細胞はバルジ領域に存在する】
毛母細胞の元となる幹細胞を「毛包幹細胞」、メラノサイトの元となる幹細胞を「色素幹細胞」といいます。これまで毛包幹細胞と色素幹細胞は、毛母細胞やメラノサイトと同様に毛包付近に存在していると考えられていました。しかし最近の研究で、毛包幹細胞と色素幹細胞は毛包付近ではなく毛根の真ん中あたりに位置する「バルジ領域」に存在していることが分かったのです。さらに幹細胞は17型コラーゲンによって維持されていることも明らかになりました。
《詳しく知りたい方はこちらをご覧ください》
▶【医師が教える】薄毛や白髪の治療に新たな可能性! 今注目の「バルジ領域」とは?白髪の主な原因
白髪は以下のようなことが原因で発生すると考えられています。
- ◯遺伝の影響
- 遺伝などの影響でメラノサイトの働きが先天的に弱い場合は、白髪になりやすいといわれています。
- ◯血行不良や栄養不足
- 通常、栄養は血液を介してメラノサイトに届けられますが、血行不良に陥ると隅々まで血液が届かなくなる場合があります。また体内の栄養が不足することでメラノサイトまで栄養が十分に行き渡らなくなり、メラノサイトのエネルギーが低下する可能性も。メラノサイトのエネルギーが低下すると髪の毛に色をつけることが難しくなり、髪の毛が着色されないまま白髪が生えてしまう恐れがあるのです。血行不良を改善するには定期的に適度な運動を続けていくことが効果的といえます。日頃から運動量が少ないと感じる場合や白髪・薄毛の予防を積極的に行っていきたい場合には、定期的に続けられる運動を見つけることから始めると良いでしょう。
- ◯睡眠不足の影響
- 体や髪の毛の成長に関わる「成長ホルモン」は睡眠中に最も分泌されると考えられており、特に入眠からおよそ3時間後に分泌のピークを迎えるといわれています。女性の場合この時間帯に1日で成長ホルモン量の約60%が分泌されることも研究により明らかになっています。しかし慢性的な睡眠不足により成長ホルモンの分泌が阻害されると体にダメージが蓄積されやすくなり、メラノサイトの活動を低下させてしまう恐れがあります。
- ◯加齢の影響
- 加齢に伴い体内の様々な機能や細胞の働きが低下すると、毛母細胞やメラノサイトの活動も鈍くなることが考えられます。メラノサイトの活動が鈍くなると髪の毛に色がつかないまま白髪が生えてしまう可能性も。また毛母細胞の働きが低下すると髪の毛の生成にも影響し、抜け毛や薄毛に繋がることもあります。
- ◯紫外線によるダメージ
- 紫外線はUV-A、UV-B、UV-Cの3種類がありますが、特にUV-Aは真皮にまで到達するので毛母細胞や毛包幹細胞を損傷する恐れがあるとされています。色素幹細胞は毛包幹細胞により維持されており、UV-Aによって毛包幹細胞が損傷すると色素幹細胞も枯渇する可能性があるため、白髪や薄毛に繋がりかねません。
《詳しく知りたい方はこちらをご覧ください》
▶︎【医師が教える】白髪の原因は生活習慣の乱れ? 予防するための対策とは ▶︎【医師が教える】日焼けでハゲる? 紫外線による髪や頭皮への影響とその対策 ▶︎【医師が教える】育毛に関わる成長ホルモンが最も分泌されるのはいつ?今日からできる白髪対策! 栄養素を補って健やかな髪の毛を維持しよう
現在の医学では白髪を完全に改善することは難しいとされています。また白髪には様々な要因が関与していますが、加齢や遺伝による白髪を改善させることはできません。しかし生活要因の改善を行うことで白髪の発生を遅らせたり、白髪を減らしたりすることなどはできる場合があります。ここで白髪改善の効果が期待できる栄養素を紹介します。食生活を改善したい方はぜひ参考にしてください。
◯銅
ミネラル類は白髪予防に欠かせない栄養素といわれています。特に銅は色素の生成を促す働きがあるといわれているため、銅が不足してしまうと白髪が発生しやすくなることが考えられます。またミネラルは体内で生成できない栄養素なので、不足しないよう日頃から食事に気をつけておきましょう。
- 【銅を含む食材】
- 大豆、豆腐、納豆、ごぼう、モロヘイヤ、にんにく、あんず、プルーン など
◯ヨード
ヨードは甲状腺ホルモンの材料にもなるミネラルの一種。細胞の働きを促すため、メラノサイトを活性化させる働きを持つといわれています。メラノサイトが活発に働くことで髪の毛を着色する働きが促されるため、白髪の予防に繋がると考えられているのです。
- 【ヨードを含む食材】
- 昆布、ひじき、ワカメ、イワシ、サバ、鶏肉、卵、海苔 など
◯EPA・DHA
EPAやDHAは体内で生成されない必須脂肪酸の一種。血管をしなやかに開く働きがあるため、摂取することで加齢や運動不足に伴う血行不良を改善する可能性があります。血流が改善されるとメラノサイトへ栄養が届きやすくなり、白髪の予防や改善にも繋がるでしょう。
- 【EPA・DHAを含む食材】
- サバ、イワシ、本マグロ、マダイ、ブリ、サンマ など
◯鉄
鉄は赤血球を生成する働きがあり、人間にとって必要不可欠な栄養素です。また鉄はメラノサイトを活性化させる働きもあるため、髪の毛にも必要な栄養素といえます。鉄が不足することで血流が悪化したり、髪の毛に色をつける働きが衰えたりする可能性があります。よって鉄分不足を防ぎ血行促進やメラノサイトの活性化を促すことは、白髪予防にも効果的であるといえるでしょう。特に女性は月経などにより鉄分が不足しやすいと考えられているため積極的に摂取していきたい栄養素です。
- 【鉄を含む食材】
- レバー、貝類、牛肉、豚肉、パセリ、ほうれん草、小松菜 など
◯マンガン
マンガンは肝臓や腎臓、膵臓などの臓器のほか髪の毛にも存在し、様々な酵素を生成したり酵素の働きを助けたりする重要なミネラルです。体内のマンガン含有量は成人でおよそ10〜20mg程度と多くはないものの、不足することで育毛にも影響が出る可能性があると考えられています。
- 【マンガンを含む食材】
- 粉状クローブ、緑茶、粉状シナモン、紅茶、青のり、きくらげ、ヘーゼルナッツ など
◯チロシン
チロシンはタンパク質を構成しているアミノ酸の一種。髪の毛の色の元となる「メラニン色素」の生成を促す働きがあるため、チロシンが不足することで白髪を招く可能性があります。
- 【チロシンを含む食材】
- チーズ、バナナ、アボカド、リンゴ、カツオ、マグロ、アーモンド、落花生 など
◯カルシウム
カルシウムはミネラルの一種で、骨や歯を生成する重要な役割を持っています。メラノサイトを活性化させる働きもあり、白髪予防にも役立つと考えられています。女性は特に妊娠や出産によって多くのカルシウムを消費するため、白髪を防ぐためには積極的に摂取したい栄養素の一種といえます。
- 【カルシウムを含む食材】
- 牛乳、小魚、海藻類、ナッツ類、大豆、緑黄色野菜 など
《詳しく知りたい方はこちらをご覧ください》
▶︎【医師が教える】若白髪の原因は栄養不足?予防と改善に効果的な食べ物白髪と薄毛は関係する?
白髪と薄毛は直接関与しているわけではありません。しかし薄毛も白髪と同様に栄養不足が関与している可能性は考えられます。白髪が生えたからといって抜け毛が増えるわけでも減るわけでもありませんが、髪の毛に必要な栄養素が不足している場合には白髪と薄毛の両方に影響が出る場合もあります。また、運動不足などによって血行不良に陥ると髪の毛の成長に必要な栄養が毛細血管まで十分に行き渡らなくなり、育毛が妨げられることも考えられます。そうなると薄毛や白髪が目立ってしまうこともあるでしょう。
巷では「白髪を抜くと余計に増える」という噂が知られていますが、この噂に医学的根拠はありません。ただし白髪を無理に引き抜くことで毛穴周辺の皮膚などが損傷し、毛母細胞などの組織を傷つけてしまう恐れがあります。そのためどうしても白髪が気になる場合は根元からカットすることをおすすめします。
《詳しく知りたい方はこちらをご覧ください》
▶︎【医師が教える】AGAと白髪は関係がある?白髪が生えるメカニズムと薄毛・AGAとの関係毛髪に関するお悩みはAGAヘアクリニックへ
白髪は女性だけでなく男性にとっても悩みの種になるでしょう。また加齢などによって薄毛が進行することで全体の毛量がボリュームダウンし、より白髪が目立ってしまうことも考えられます。特に女性の場合、一般的に白髪になりやすい時期と薄毛を発症しやすい時期が同じ「壮年期」にあたるため、毛量の低下によって白髪ばかりが目立ってしまうケースが多くあります。白髪は白髪染めなどでもカバーできますが、毛量も白髪も気になるという方は生活習慣の改善のほかにも薄毛治療を検討してみてはいかがでしょうか。
東京の秋葉原にあるAGAヘアクリニック(以下当院)では、女性の薄毛治療薬をはじめ、発毛効果のある外用薬、ビタミンやミネラルなどの栄養素をバランスよく含むビタミン剤「VITADD(ビタッド)」、薄毛男性のほとんどが該当するとされるAGA(男性型脱毛症)の治療薬など様々な治療薬をご用意しております。カウンセリング・診察は無料で実施しているため「話だけでも聞いてみたい」という方もお気軽にご利用いただけます。また当院は完全予約制・全室個室での診療を実施しておりますので、人目が気になる方も安心してお越しください。
監修医師のご紹介

AGAヘアクリニック 院長 水島 豪太
2009年 日本大学医学部卒業。大学病院および市中病院で研鑽を積み、2016年7月より医療法人社団則由会 AGAヘアクリニックを開院。