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【医師が教える】加齢による脱毛と白髪に希望? 幹細胞と17型コラーゲンの働きについての研究発表

薄毛治療

脱毛や白髪に悩む人は多く、改善のための様々な研究が各所で行われています。そんな中、西村栄美教授(※)の研究グループが、脱毛と白髪の「幹細胞」に関与する「17型コラーゲン」の働きについての研究結果を発表し、話題を呼びました。

今回のAGAタイムスでは近い将来、脱毛と白髪の改善が期待できるかもしれない「脱毛と白髪のメカニズム」に迫る西村教授の研究発表について、わかりやすく解説していきます。

※【西村栄美(にしむらえみ)】
東京医科歯科大学難治疾患研究所・幹細胞医学分野教授(2018年11月8日現在)。老化についての研究を行っており、幹細胞の役割や老化・ガンの発生機序について研究を推し進めている。「毛色素幹細胞運命決定における細胞外環境の役割とその分子基盤の解明」がネイチャー誌に掲載された。

脱毛と白髪に関する研究を理解するために知っておこう

ここで論文を読み解く前に、知っておきたいポイントをまとめました。

◯髪の毛の仕組み

個人差はありますが、人間の髪の毛は約10万本程度あるとされており、その10万本の髪の毛はランダムにおよそ2〜6年で生え替わっているため、全体的に健康な頭髪を維持することができます。髪の毛の生え替わるこの周期を「ヘアサイクル(毛周期)」と呼びます。

髪の毛は「毛母細胞」が細胞分裂を繰り返して作られますが、その毛母細胞を生み出すのが今回の論文の主役である「毛包幹細胞」です。毛包幹細胞から生み出された毛母細胞は髪の毛の根元から酸素や栄養を受け取り、さらに細胞分裂を繰り返すことで髪の毛として成長し伸びていきます。髪の毛の根元には色素細胞があり、髪の毛が伸びていく際に色をつけるとされています。

◯薄毛になるのはなぜ?

ヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」の3つの期間があり、それぞれの期間を移行してサイクルが一周します。休止期では、成長を終えた髪の毛が次のサイクルの成長期で起こる細胞分裂によって押し出されるかたちで脱毛します。この脱毛は自然なヘアサイクルの一環で起こる現象であり、抜けること自体に問題はありません。

しかし新しく生えてくる髪の毛が細くて弱かったり、成長しきらないまま早期に抜けてしまったり、なんらかの要因で育毛を阻害されたりすることによって髪の毛が全体的または部分的に薄毛になることがあります。

現在国内で薄毛に悩んでいる成人男性は約1,200万人とされ、そのうちの多くは男性ホルモンなどの影響によって発症する「AGA(男性型脱毛症)」であるともいわれています。これ以外にも男女問わず、病気の合併症や免疫機能の低下、ストレスなどの心的要因、栄養不足や血行不良、皮膚炎などによる頭皮環境の悪化、老化などによっても脱毛が起こる場合があります。

◯白髪の原因

髪の毛に色がつくのは「色素幹細胞」が作り出した「色素細胞(メラノサイト)」の働きによるもので、髪の毛の成長期にはこの色素細胞も活性化しているとされています。分裂を繰り返し成熟した色素細胞は成長期の髪の毛に色をつけるようになります。色づけがされていない元の髪の毛は白色であるため、成長期の髪の毛にうまく色がつけられないと白いまま生えてきてしまい白髪となるのです。

◯幹細胞の特徴

幹細胞は自らを複製して増えていく「自己複製能」と、分化した細胞を作り出す「分化能」を併せ持っています。これらの能力によって細胞の新陳代謝が促進され、体が正常な状態で保たれるようにコントロールしているのです。

幹細胞は分化することで何らかの働きをする細胞になります。今回ご紹介する研究で取り挙げられている毛包幹細胞は毛母細胞へと分化し、主に髪の毛に成長します。また色素幹細胞は色素細胞へと分化し、髪の毛に色をつける働きをします。

幹細胞には、生物が存在するために水や空気が必要なように、存在するための環境条件があります。その環境のことを“ニッチ(微小環境)”と呼び、幹細胞はいずれもニッチに存在しているとされています。

研究の概要と成果

西村教授らの研究では、下記のことが分かっています。ここでは論文の用語をそのまま挙げますが、後ほど詳しく解説します。

【研究でわかったこと】

  • ・「色素幹細胞」はバルジ領域の毛包幹細胞と隣り合わせに存在していた
  • ・色素幹細胞にとってのニッチは「毛包幹細胞」だった
  • ・17型コラーゲンが、毛包幹細胞と色素幹細胞をつなぎ止めていた

これら一連の研究結果は脱毛や白髪の研究者だけでなく、ガンや再生医療について調べる多くの研究者にも衝撃を与えました。特に色素幹細胞を世界で初めて同定した論文は、世界でも話題になりました。

脱毛と白髪に関係する研究を解説!

ここで加齢による脱毛と白髪のメカニズムに迫る西村教授の一連の研究について解説していきます。

【色素幹細胞はバルジ領域に存在した!】

髪の毛の根元部分にある色素細胞が髪の毛に色をつけていることがは既に判明しています。しかし、色素細胞自体がどこで産み出されているのかは明らかになっていませんでした。西村教授の研究によると、色素細胞の元となる色素幹細胞は毛根の中程にある「バルジ領域」に未分化(分化して具体的に機能する細胞になる前の状態)の状態で存在していることが明らかとなったのです。

【毛包幹細胞が色素幹細胞のニッチだった!】

毛包幹細胞が存在できるニッチはバルジ領域であることはわかっていましたが、この研究では「毛包幹細胞自体が、色素幹細胞のニッチである」ということも判明しました。つまり「ある幹細胞が別の幹細胞のニッチになっていた」のです。

つまり髪の毛の元となる毛包幹細胞が枯渇しすると、同時に色素幹細胞も枯渇して色素細胞もなくなるため、脱毛や白髪が発生するのです。

【加齢によって薄毛や白髪が起こるのはなぜ?】

多くの研究の中で「多細胞生物は加齢によりDNA(遺伝子)が損傷しやすくなっていく」ということがわかっています。これは細胞分裂の回数がDNAに組み込まれているからだといわれています。このため加齢と共に細胞分裂がされなくなって細胞数が減少し、細胞機能そのものも低下するとされているのです。

また「慢性的なストレスはDNAを損傷させる」という研究報告もあります。西村教授のマウスを使った実験では「ストレスや加齢によるDNA損傷によって毛包幹細胞が自己複製せずに分化してしまうと、色素幹細胞も維持できなくなり枯渇して白髪になる」との結果が報告されています。また色素幹細胞を維持するために必要な遺伝子が存在し、その遺伝子が欠損したマウスは白髪になることもわかりました。

他にも色素幹細胞の子孫細胞は、一度ニッチを離れても空のニッチに戻ることができれば、再び色素幹細胞として活動できることもわかっています。このことから色素幹細胞が幹細胞性を維持できるかどうかを決定しているのは、幹細胞周囲のニッチが関係すると考えられていますが詳しいメカニズムはわかっていません。現在も研究が進められており、このメカニズムの詳細がわかれば、白髪が生える毛髪を元に戻すことができる可能性も出てくるでしょう。

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脱毛と白髪は「17型コラーゲン」がコントロールしていた!?

もう一つ、西村教授らは脱毛と白髪に関係する重要な発見をしています。毛包幹細胞は「17型コラーゲン」というタンパク質の一種を発現させる働きがありますが、この17型コラーゲンこそが毛包幹細胞を維持すると同時に色素幹細胞の維持にも大きな役割を担っていたのです。

【17型コラーゲンの働き】

17型コラーゲンは膜貫通性を持っており、バルジ領域で基底膜(皮膚の表面とその深部にある層の間にある膜)に貫通して、毛包幹細胞をニッチにつなぎとめておく役割を果たしていたのです。

17型コラーゲンがなくなると毛包幹細胞をニッチにつなぎとめておくことができずに、毛包幹細胞はバルジ領域に留まることができなくなります。そうなると毛母細胞ではなく角化細胞に分化し、角質となって剥がれ落ちてしまい枯渇します。すると毛包幹細胞をニッチとしている色素幹細胞も維持することができなくなり分化して枯渇してしまうため、脱毛が起こるのです。

また17型コラーゲンは白髪にも関与しており「Wnt/β-カテニン経路」を介して色素幹細胞の未分化性や休眠状態を促進したり、制御したりする働きも行なっていることも報告されました。つまり『色素幹細胞に髪の毛の色を決める命令を出していたのは、17型コラーゲンだった』ということです。

まとめると「17型コラーゲンは脱毛と白髪の発生をコントロールしていた」という仕組みが解明されたのです。

研究がもたらす更なる期待

毛包幹細胞はヘアサイクルごとに自己複製して髪の毛を作る働きをする細胞とは別に毛包幹細胞として維持されますが、加齢によって毛包幹細胞のDNAにダメージが蓄積されると自己複製をやめてしまいます。また蓄積したダメージで毛包幹細胞はその働きを行えなくなり、17型コラーゲンを発現できなくなります。これが加齢によって薄毛になるメカニズムであると、西村教授は報告しています。

17型コラーゲンは毛包幹細胞でしか生産されず、色素幹細胞では作り出すことはできないといわれています。しかし「17型コラーゲンが欠乏している状態のマウスの毛包幹細胞に17型コラーゲンを戻すと、白髪も抜け毛もなくなった」という結果が報告されています。17型コラーゲンは加齢によって減少してしまいますが、17型コラーゲンの発現制御の仕組みがわかれば、白髪や抜け毛の解消に役立つ可能性が期待できるでしょう。

まだ症例は少なく研究段階といえますが、幹細胞を使用した薄毛治療法もすでに始まっています。さらにこれらの研究は再生医療などの幅広い医学の進歩にも良い影響を与えていくことでしょう。西村教授も、高齢化社会が進行する現代、加齢による機能低下がもたらす疾患に対しても幹細胞研究からアプローチしていきたいと考えていると話しています。

AGAの治療は専門クリニックへ

AGA治療を幹細胞の研究からアプローチできるかどうかは現段階では未知であり更なる研究が待ち望まれますが、AGAは進行性の脱毛症であるため早めの治療や予防が有効とされています。すでに薄毛でお悩みの方は、AGA治療専門クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。

東京の秋葉原にあるAGAヘアクリニック(以下、当院)では、AGA治療の実績豊富な医師が、お一人おひとりに合った治療を行なっております。カウンセリングと診察は無料ですので、相談をしながらAGA治療を続けて行くことができます。プライバシーをしっかり守れる個室をご用意しておりますので、お気軽にご来院ください。

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